市販の「片栗粉」の正体はカタクリの粉じゃない！？その歴史と真実

2024年10月21日

実は、市販の「片栗粉」はカタクリの粉じゃないって本当！？

料理に欠かせない「片栗粉」。揚げ物の衣やとろみをつけるために日常的に使っている方も多いのではないでしょうか。私は揚げ物をするときは小麦粉を使わず（そもそも小麦粉を買ったことがないですｗ）、もっぱら片栗粉をつけて揚げ物をしています。また、とろみをつけたいときにも使いますよね。冬の時期になるとあんかけ系の料理が多くなったりしますので、片栗粉のお世話になっています。

ところで、実は市販されている片栗粉の原料が、実際には「カタクリの粉」ではないって知っていましたか？片栗粉って言ってるんですから、普通はカタクリの粉って思いますよね？

恥ずかしながら私は数年前まで知りませんでしたｗ

これ、ちょっとびっくりする事実かもしれませんが、片栗粉の歴史をひもとくと、その背景には意外な理由があるんです。

今回は、「片栗粉」と「カタクリ」の関係、そしてなぜ今はカタクリから片栗粉が作られていないのかを歴史とともにご紹介します！

そもそも「カタクリ」とは？

「カタクリ」は、日本の山野に自生するユリ科の多年草で、春に紫色のかわいらしい花を咲かせます。カタクリの球根にはデンプンが含まれており、昔はこの球根からデンプンを取り出して片栗粉が作られていました。これが、片栗粉の名前の由来なんです。

つまり、元々の片栗粉は本当にカタクリから作られた自然素材だったんですね。昔の人々は山で育つカタクリの球根を収穫して、手間ひまかけてデンプンを取り出していたわけです。

では、なぜ今はカタクリから作られていないの？

ここからが本題！現在市販されている「片栗粉」は、ほとんどが ジャガイモのデンプン で作られています。カタクリの粉じゃない！ということに驚く方もいるかもしれませんね。でも、その理由は単純です。

1. カタクリの球根の収穫が大変だった
カタクリの球根からデンプンを取り出すには、膨大な量のカタクリを採集しなければなりませんでした。さらに、カタクリは山野に自生するため、育てるのも容易ではありません。カタクリ1株から得られるデンプン量も非常に少なく、片栗粉を大量生産するには不向きでした。

2. ジャガイモの登場でコストが下がった
明治時代以降、ジャガイモ が日本に広まり、簡単に大量に栽培できるようになりました。ジャガイモにはデンプンが豊富に含まれており、そのデンプンを取り出して片栗粉に使うようになったのです。ジャガイモは手軽に育てられ、収穫量も多いため、片栗粉のコストが劇的に下がりました。

3. カタクリが希少植物になった
カタクリの乱獲や開発によって自生地が減少し、カタクリ自体が希少な植物となってしまいました。現在では、カタクリは保護される対象となっており、野生のカタクリを採集することが難しくなっています。そのため、片栗粉をカタクリから作るという方法は現実的ではなくなったのです。

現在の片栗粉はジャガイモから

現代では、片栗粉の大部分はジャガイモのデンプンから作られています。厳密に言えば、今の片栗粉は「ジャガイモデンプン粉」とでも呼んだほうが正確かもしれませんね。私は片栗粉とは言わず、「デンプン粉」と言っていますｗ

この転換が進んだのは、日本にジャガイモが広く普及した明治以降のことです。ジャガイモからデンプンを取り出す技術が確立され、カタクリに代わるものとして利用されるようになりました。ジャガイモデンプンは、カタクリのデンプンと似た性質を持っており、調理に使っても遜色なく機能します。

世界の片栗粉事情

片栗粉は日本独自の食材というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、同じようにデンプンを利用する料理は世界各地に存在します。例えば、中国では「トウモロコシ」や「タピオカ」から取れるデンプンが、料理のとろみをつけるために使われます。ヨーロッパでも、ジャガイモやトウモロコシのデンプンを料理やお菓子作りに使うことがあります。

日本ではそういった歴史が知られないまま、いまだに「片栗粉」という名前が定着しているのが現状です。